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2005年 04月 06日
(『驟り雨』・新潮文庫)
年老いた日雇いの主人公作十、横腹の一点に尋常でない病が住みついている、 その痛みに耐えかねて、道の脇に腰をおろし、背中を丸めて休んでいた。 そんな作十にやさしく声をかけてくれ、裏店まで肩をかしてくれたのはたのは同じ裏店に 住むおうめという女だった。看病もしてくれた。 おうめは三十半ばで浅草の水茶屋につとめている。半年前亭主に逃げられて子供と二 人で暮らしていた。 ある日、そのおうめの家にドスのきいた男たちの声が聞こえてきた。 おうめが逃げた亭主の借金(十両)のことで脅されていたのだ。 作十はその借金は自分が返すということで、男たちを引き上げさせた。 その夜、おうめが作十の蒲団の中に入り込んできた。 次の日、作十は昔の仲間をさそって、盗みに入り、五十両をおうめに渡して、 自分は死んでいく。 岡っ引きが調べに来たが、おうめは黙っていた。夏になったら房州に帰ろうと子供にいう。 唐突ながら、イエスが捕らえられたときの、弟子たちの反応を思い浮かべた。 名乗ることは出来ないが、心の中で深く深く謝りながら、新しい生活に向かって歩き出す。 それが作十に対するいちばいい形の供養なのだ。
by origane1
| 2005-04-06 07:22
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